ヨーロッパの名品をセレクトするプロが、
ワンランク上のブランケットを制作。
ドイツの〈turk〉の鉄のフライパンや、イタリアの〈Saturnia〉のシンプルなプレート、フランスの〈Jean Dubost〉のライヨールナイフ、そしてスペインの〈El Arte del Olivo〉のカッティングボード。どれもEDIT LIFEで人気の商品ですが、これらのアイテムが日本に広まった背景には、商品のことを愛する、ある輸入代理店の存在があります。「ZAKKAWORKS」。社名からもわかるように「雑貨と道具」をテーマにヨーロッパの素晴らしい商品を日本に輸入している会社です。気にいった商品があれば直接ヨーロッパの生産者に会いに行き、ブランドの特性や志を理解したうえで、日本でのブランディングを考えて商品を販売しています。その「ZAKKAWORKS」がイタリアの織物の産地として有名なプラートの街で、こだわりのブランケット〈ciccio〉を作ったと知って、代表の山本雅三さんにインタビューをお願いしました。
リビングやオフィスで使いやすいことにこだわった〈ciccio〉のブランケットのイメージイラスト。
〈ciccio〉の上質なブランケットは、
触れる前から「柔らかさ」が伝わってくる。
EDIT LIFEでは、あたたかくてシンプル、そして上質なブランケットを探していました。冬になると寒さのせいで普段より身体が緊張してしまうもの。でも安易に「なんでもいいから買いたい」と思えないのは、決して安い買い物ではないし、秋冬にしか使わないアイテムだからこそ、毎年使いたくなるお気に入りを探したいから。〈ciccio〉のブランケットを初めて見たときに、触る前から「これは柔らかくて気持ちよさそうだ」と感じました。なめらかな素材感が表面から伝わり、しっかりとした厚みがぬくぬくと身体をあたためてくれそうだったのです。実際に触ってるとやっぱり肌触りがとても良くて、いまではEDIT LIFEのオフィスで〈ciccio〉のブランケットを膝の上にかけたり、ときにはすっぽり身体を包んであたたかい時間を過ごしています。
イタリアの織物業の街、プラートで作られた〈ciccio〉のブランケット。こちらはLサイズ。
上質を追い求めた先に、
織物の街プラートに辿り着いた。
そんな風にとても好きになったブランケットなので、どうしてそんなに触り心地が良いのかを知りたくなって、商品開発のこだわりについてお話を伺うことにしました。まず始めに聞いたのは、ブランケットを作ろうと思ったきっかけからです。
山本さん:『ZAKKAWORKSではこれまでにも何度かブランケットを作ってきました。イギリスの著名なメーカーでツイードとフリースのものを作ったり、スコットランドの老舗メーカーとタータンチェックのものを作ったり。そんな背景もあって、今回はクラス感のある「質」にこだわったブランケットを作りたいと考えました。イタリアで作ろうと思った理由は、正直、いいものができそうだという感覚ですかね。いろいろ探した末に、ルネサンス期から織物産業で栄えたフィレンツェ近郊にあるプラートの街に、上質な糸で製品を作ってくれる工場を見つけたんです。その工場には、ニュアンスのある上品な色合いの糸が豊富にあったことも魅力的でした』
茶褐色の屋根が印象的なプラートの街並み。
ルネサンス期から続く伝統と文化が、
柔らかな肌触りを生み出している。
プラートの街はイタリア毛織物工業の三大中心地のひとつとして知られていて、その街で作られた100%ウールを使って〈ciccio〉のブランケットは作られています。品質の高い糸だけを使用したベーシックで飽きのこないブランケットは、しなやかな風合いがあって、心地よい肌触りが特徴です。私自身も体感したその心地良さは、いったいどこからきているのでしょうか?
山本さん:『クオリティの高い商品を作ることができたのは、織物の街として栄えてきたプラートの街の歴史背景による所が大きいです。とても上質で綺麗な糸が揃っていて、高い技術もある。この街ではハイファッションのアパレル製品も多く作られていて、うちがお願いしている工場も、有名ファッションブランドのホームリビング製品を作っている場所でした。その技術があってこそ、なめらかな風合いのブランケットが実現できたのだと思います。上質なブランケットを目指すうえで追求したのは肌触りだけでなく、糸からこだわる品質、豊かなボリューム感、そして毛羽立ちにくいクオリティ。自分たちがやりたいことに対してふさわしい技術を持っている工場を見つけ、サンプルを作って改善を加えていくことで、一番良いと思える肌触りに辿り着くことができました』
〈ciccio〉のブランケットが作られる工場では、年代もののミシンが現役で稼働している。
視覚的にもなめらかなブランケット。
それは、トリートメント加工のおかげ。
ルネサンス期から織物産業で栄えたプラートの伝統と技術が、〈ciccio〉のブランケットのクオリティを支えていることがわかりました。そしてもうひとつ、柔らかな肌ざわりには大きな理由があるようです。
プラートの工場の様子。糸を紡ぐ準備の工程。
山本さん:『このブランケットには生産工程の最後にトリートメント加工を施しているんです。具体的に言うと、ドライクリーニングのような洗いをかけて、それが乾かないうちにブラッシングをしています。「織り」の目がわからないのもその加工のため。そうやってひと手間かけることで生地がさらに柔らかくなり、肌触りがとても良くなるんですよね。作る過程で面白いと感じたのは、これまでいくつかの国でブランケットを作ってきましたが、同じウールのブランケットでも作る国によって製品がまったく異なること。トリートメント加工を加えて洗練された質感に仕上げることができた背景には、イタリアのファッションの歴史と文化があると感じました』
なめらかな肌触りが視覚的に伝わってくるのが、〈ciccio〉のブランケットの特徴。
山本さんのお話を伺って、初めて〈ciccio〉のブランケットを見たときに、見た目からも柔らかな印象を受けたのは、イタリアの技術と洗練された考え方によるものなのだと気づかされました。心地よい肌触りはきっと多くの人に愛されるでしょうが、チクチクするブランケットを嫌がる小さな子供にも受け入れられそうです。
ニュアンスのある色の糸が豊富な、プラートの工場。
細部へのこだわりを積み重ねることで、
本物のスタンダードが完成する。
さて、素晴らしい商品について調べていくと細部にまで作り手のこだわりが詰まっているもの。カラーやデザイン、サイズについても伺いました。
山本さん:『イタリアの工場にして良かったのは、生地の質とともにニュアンスのある色の糸をたくさん持っていたこと。白やグレーと言っても色の階調は無数にありますからね。イタリアの糸の色は本当に美しいんです。スコットランドのタータンチェックや北欧のかわいい動物柄もいいですが、今回は無地で上品なクラス感を追求したかった。白、キャメル、マロン、グレー、ライトグレーのスタンダード色を選び、パイピングのかがり糸も、それぞれに合わせて選んでいきました。心がけたのはベーシックで大人っぽい色のコンビネーション。イタリアの糸の美しさを丁寧に表現できればと考えました』
女性が使うのに丁度いいSサイズ。上半身を包んだり、ひざ掛けに適したサイズ。
女性が日々快適に過ごすために、
ボリューム感とサイズ、軽さにこだわった。
〈ciccio〉のブランケットはスタンダードな5色展開。生地にボリュームがあって、クラス感があるのも魅力です。
山本さん:『質感の良さを感じてもらうために、ボリューム感はしっかり出したかったんです。これもサンプルをいくつか作りながら厚みを調整していきました。リビングで使うときにボリュームがありすぎると使いづらいんですよね。また、一定の厚みを超えると毛布のような印象になってスタイリッシュさが失われる。そのぎりぎりのところを調整していきました』
Lサイズも折りたたんでひざ掛けとして使用可能。リビング使いにおすすめ。
サイズ展開は2種類で、身体をすっぽり包み込むLサイズと、その半分のひざ掛けに丁度いいSサイズがあります。日本人にとってはどちらも馴染みのあるサイズですが、このサイズについてもこだわりが込められていました。
山本さん:『日本人が普段使っているひざ掛けサイズのブランケットは、海外では珍しいみたいなんですよね。今回作ったLサイズが向こうのスタンダードで、セミダブルのベッドを覆えて、人の全身を包み込める大きさです。一方のSサイズは特注で作ってもらったもの。上半身を包んだり、腰に巻くのに丁度いいサイズです。このSサイズがイタリアでは珍しいんですよね。日本では女性がオフィスで使ったり腰に巻くことも多いので、それにふさわしい大きさと重さを検証しながら作りました。やっぱり、軽くてあたたかいのが一番いいですからね』
プラートの工場の様子。糸を紡ぐ準備工程。
クオリティの高い仕事を細部にまで施す視点は、デザインにおいても共通のようです。〈ciccio〉のブランケットは一見シンプルですが、エッジのラウンドカーブや、パイピングのステッチなど、さりげなく細部に視覚的ニュアンスが加えられています。
視覚的なニュアンスを与えるパイピング。
落ち着きのある色のコンビネーションが魅力。
ギフトとして贈ることも考えて、
クラス感のあるシーチングケースをセットで。
山本さん:『実は、両端に色の異なるフリンジをつけることも検討したのですが、それだと、ベースの色の印象が半減してしまうんですよね。でも、ステッチが同色だとビジュアルとして落ち着きすぎてしまう。そこで、少し変化をつけるためにパイピングの糸の色で遊びを加えることにしました。角をラウンドにしたのも、上品なニュアンスを加えるためです。あとは、ブランケットを収納するためにコットンのシーチングケースを付けることにしました。せっかくイタリアの素晴らしい工場にお願いしてこだわって作った商品なので、最後にその価値をひとつ上げて、お客さんに届けたいなと。リボンをつけてギフトにしてもきっと喜ばれますよね』
ブランケットに付いているコットンのシーチングケース。
技術と想いが込められた、
長く愛されるスタンダード。
イタリアの織物の街、プラートでこだわり抜いて作られた〈ciccio〉のブランドストーリー、いかがでしたか? お話を伺って、シンプルな無地のブランケットだからこそ、質の高い素材や技術で商品の魅力を引き出さないと、ほかとの差別化ができないことが伝わってきました。山本さんが目指した「クラス感を上げる」という意味は、長く愛されるスタンダードを作るために、クオリティの高い仕事を細部にまで施すことなのだと感じました。
ベッドに置いても絵になる様子を描いたイメージイラスト。
ちなみに〈ciccio〉というブランド名は、イタリアで親しい相手を呼び合うときに使われる言葉。「お肉、ぜい肉」という意味から派生して少しぽっちゃりしている人のことを呼ぶ言葉でもありますが、「チャーミングでかわいいやつ」という意味合いが強いそうです。「かわいくて、あたたかいイメージの名前にしたかった」という想いが込められたブランケットは、きっとみなさんの親しい相棒になってくれると思います。
〈ciccio〉のアイテム一覧
*Ciccio商品の販売は終了しました。