EDITLIFEでは11月12日に、 野口悦士さんの器と種子島の食材をテーマに食事会を開催しました。楽食住のテーマ〈楽はなくも、楽しく。食する事を大事に。住み暮らす。〉がぴったりのアットホームな会の様子をご紹介します。料理をしてくださったのは、東京・下北沢の人気レストラン〈Salmon&Trout(サーモン&トラウト)〉のシェフ・森枝幹さん。
サーモン&トラウトのシェフ・森枝幹さん。
森枝幹さんは、シドニーの名店「tetsuyas」で修行後、国内外の星付きレストランで経験を積み独立。自家農園や直接仕入れた食材で作る、個性的で遊び心のあるお料理で、食べる人を驚かせてくれます。
白磁のコブレットと、鶏のスープ。
1品目は、鶏のスープにアブサンの香りを効かせたスープ。
野口さんの白磁のゴブレットはスープやお酒を楽しむにぴったりの器です。
釉薬の白さが、透き通ったスープをより美しく演出してくれます。
前菜として用意されたのは、種子島産の鹿肉を使ったホットドッグ。ソースにはビーツが使われていて、森枝シェフの得意とする一品です。
他にも種子島の名産である生姜のピクルスが用意されました。
空輸されたスペシャルビール、〈BORN TO DIE〉。
森枝シェフは、料理とお酒のペアリングを大事にしています。
一杯目に用意されたのは、なんと賞味期限がラベルに入っている生ホップのビール。その名も〈BORN TO DIE〉。
アルコール度数8%と通常のビールより度数が高く、しっかりとした麦芽の香りが感じられるビールは、その後に続く、食事とお酒を期待させてくれるノド越しでした。
輪花皿に盛られた、ふぐのサラダ。
続いて出されたのは、春菊と種子島のラディッシュ、ふぐのサラダ。
ドレッシングには魚醤やパクチーを使い、少しオリエンタルな雰囲気の料理でした。
輪花皿という名前が付いた器は、花のように広がる縁が特徴的。種子島の土は鉄分が多く、焼くと表面に黒い斑点が出て、二つとして同じ作品は生まれません。うわぐすりを使わない焼き締めの器には力強さを感じます。
シンプルな黒い器と、牡蛎のスクランブルエッグ。
3品目。目にも鮮やかなケールのソースがかかっているのは、牡蛎のスクランブルエッグ。
新鮮な牡蛎のプルプルな触感と、ふわふわのスクランブルエッグが贅沢な一皿でした。
野口さんのシンプルな黒い器は、食材の色を引き立たせてくれます。しっかりと深さがあるので、一品料理やスープ、どんぶりものなど、マルチに使うことができます。
ひとつひとつ愛情込めて盛り付けをする森枝シェフ。器と料理の組み合わせを大事にするのも森枝さんの魅力です。
今回の食事会も、野口さんの器を見ながらメニューを考えることから始まりました。
ベージュの平皿と、サワラのコラーゲンソース和え。
4品目。その日の朝に獲れたサワラと魚のコラーゲンのソース、付け合わせはレインボーキウイとパクチーのサラダ。
脂がしっかりとのったサワラとキウイとパクチーのさっぱりしたサラダの組み合わせが絶妙でした。
ベーシックなベージュの平皿は、料理やソースの色を考えて、キャンパスに絵を描くように盛りつけすると、素敵になるのだと感じました。
野口さんの種子島焼の器は、使い始めは土に含まれる鉄分で表面がざらざらしていますが、使い込んでいくうちに滑らかになっていきます。自分だけの一枚を、大切に育てるように使えるのが魅力です。
種子島焼のピッチャーで、こだわりの日本酒を。
白身魚の料理に合わせて出されたお酒が、日本酒〈小左衛門・無濾過生原酒〉。濃厚ながら米本来の甘みとジューシー感が感じられるお酒です。
蔵元独自の搾り方をしていて、できるだけ空気に触れさせずに瓶詰にしているそうです。
日本酒が苦手な人も飲みやすいと評判でした。
こちらのピッチャーも野口さんの作品。今回は日本酒を注ぎましたが、焼酎やワインなど、様々なシーンで使ってみてください。土の力強さと焼き締めのシンプルな表情が、晩酌のお供になってくれると思います。
今回は、森枝さんの他にももうひとりのシェフと、そしてソムリエの方も来てくださいました。
みなさん、食に対する造形が深く一品ごとに丁寧に説明をしてくださいました。
粉引の器と、アマダイと貝のスープ。
次に提供されたのは、その日の朝に獲れたアマダイと貝のスープ。
料理に合わされたのは、粉引といわれる、素地に白い化粧土を施した器。焼き締めとはまた違った表情で、その洗練された佇まいは和洋折衷のお食事にも合うと感じました。
キャンパスのように器を使って楽しむ。
器をキャンパスに見立て、計算された料理の盛りつけは、食べる人を楽しみませてくれます。
野口さんの作品は、焼き締め・粉引・白磁・黒釉とさまざまな手法をとっていますが、どれも日々の生活で使いやすい器を目指しています。
今回、森枝さんに料理を盛り付けていただき、親しい人々が楽しむ様子を見ることで、実際に家に持ち帰って器と付き合う姿が想像できたのが良かったです。
野口さんと出会ったきっかけを作ってくださったランドスケーププロダクツの中原さんや、編集者、スタイリスト、カメラマンが集って、朗らかな時間が過ぎていきました。
鹿肉のカツレツと安納芋のバニラソース。
みんなが舌鼓を打ったメインの一皿は、鹿児島の鹿肉のカツレツと安納芋とバニラのソース。
種子島では鹿が増えていて農作物の安納芋を食べてしまうそうです。
そんな犬猿の仲ともいえる2つの食材を器で共演させる森枝シェフの思考に、料理の時間がより深みを増します。
鹿肉のカツレツの付け合わせとして出されたのははクレソンと白魚のサラダ。
焼き締めの大皿はテーブルの上でもインパクト抜群です。
ホームパーティーなど、大勢の人が集まって料理を取り分けるシーンにぴったりの器です。
鉄分の多い種子島の土で作った器は、軽くて丈夫なので、普段使いにおすすめできる器です。
今回のイベントは、実際に野口さんの器で料理を食べていただくことで器の魅力をより知ってもらいたいと思って始まりました。
料理を食べた後で器のストーリーを聞き、その手触りを楽しみ、そして次のメニューを食す、とても贅沢な時間でした。
デザートを、焼き物に合わせる。
デザートには、みりんの搾り粕を使ったムースが提供されました。
トッピングに乗っていたのははドライトマトです。この日は終始、森枝さんの斬新な料理のアイデアを堪能できて、幸せな時間でした。
そして食後には、種子島のなかわり生姜農園のしょうが紅茶に黒糖を沈めて、ホッと一息。
種子島の器作家、野口さんの器で、種子島の食素材を食べ尽くす夢のような企画は、驚きと美味しさに満ちあふれたものとなりました。
食事会の後も、野口さんに種子島の風土や器の話を聞く充実した時間が流れました。
自分らしい器を育てるために。
参加者から多く言われたのは、実際に器を使ってみると、欲しい器が変わってくるということ。これは料理を合わせるシーンを体験することで、イメージがしやすくなるのかもしれません。
日々、使ってもらう器作りを目指す野口さんにとっても、嬉しいコメントだそうです。一枚一枚表情が違うので、自分にしっくりくる器を探してみてください。
焼き締めの器は、釉薬が塗ってある器と違って食材の色が染み込みやすいので、初めて使う際は30分ほど水に沈めてあげるのがポイント。その後は、使う際にさっと水にくぐらせことが、よい器に育てる秘訣だそうです。洗う時はスポンジより、たわしでこするように洗うと、表面が滑らかになっていきますよ。
EDIT LIFE TOKYOでは野口悦士さんの展示会期は終了しましたが、2月6日までオンラインショップの下記のページで購入できます。是非チェックしてみてください。
最後に、野口悦士さんと森枝さんチームでパチリ!
みなさま、ありがとうございました!
そして、読者のみなさん、サーモン&トラウトにもぜひ行ってみてくださいね。
今回のような驚き体験が待っていると思います。